2025年11月1日、遠藤の引退が発表されました。
ついに……ついに、この日が来てしまったのか。
12年前から進めた心の準備
2013年に遠藤を応援し始めてから12年。
この日が来ることが、12年前から怖かった。
力士とは絶対に引退してしまうもの。遠藤にも、必ず引退の日は来る。
けれど、それを想像したときに、果たしてどんな衝撃が胸に走るのか。その痛みに自分は耐えられるのか。
あまり苦しみたくない。ショックを受けたくない。
そう思って、12年かけて、私は心の準備を少しずつ進めてきていました。
引退までの段階
2018年、遠藤が年寄名跡「北陣」を継承したというニュースを聞いたとき、それまでまだぼんやりしていた「遠藤引退」がくっきりと輪郭を帯びてきたようで、その現実から目を背けたいながらも、遠藤の引退、そして引退後を私も強く意識するようになりました。
2025年。遠藤が、取組後に、痛そうな顔をしてなかなか立ち上がれない姿をよく見せるようになったとき。
それまで、どんな大怪我をしてもケロッとしたポーカーフェイスで痛みを顔に出さなかった遠藤があそこまで表情を歪ませているということは、もうよほど、肉体の限度を超えているのだろうと察しました。
そしてその年の7月。膝を手術したというニュース。
「膝は引退してから手術する」と言っていた遠藤が膝を手術した。つまりはそういうこと。
遠藤の心はきっともう、引退してる。
万が一続けてくれたならそれはそれで嬉しいけど、もう、多分……。
そして。
ついに10月末、引退報道が出ました。
遠藤の引退はイヤだった
わかってはいたつもりで、心の準備もしていたつもりだったのですが、やっぱり、引退の報を聞いて動揺皆無というわけにはいきませんでした。
やっぱり、遠藤が引退するのはイヤでした。
もっとずっと、遠藤の相撲を見ていたかった。
でも、仕方のないことだから。
今まで、引退しなかった力士などいない。引退どころか、この世を去らなかった人間も一人もいないのだ。散る桜、残る桜も散る桜。すべては流れてゆく。
輝かしい場面も、涙の場面も、すべて、情景として流れて、思い出になっていく。
そういうものなんだ。
遠藤は、目の前の相撲に集中して、全力で力士人生を送った。
私も、ファンとして、遠藤を心底応援した。
そういう日々に、一区切りがついたということ。
また新しい情景が広がっていくということ。
その新しい展開の中に、きっと、過去にはなかった美しさもあると信じよう。
急な引退ではなくてありがたかった
でも一つ、ありがたかったのは、遠藤の引退が急なものではなかったことです。
上述したように、遠藤は、ファンに色々と察させて、心の準備をする時間の猶予をくれました。
ろくな前触れもなく、場所中に突然引退してしまう力士もいますから、それに比べればだいぶ心の痛みは少なく済んだと思います。
引退のニュースが出る前、二場所、遠藤は全休しました。
その二場所を通じて、「遠藤のいない大相撲」というのがどんなものなのか事前に体験できたことも、いざ実際に引退すると知ったときに衝撃を和らげるのに有効だったと感じています。
2015年の大怪我がなかったら
それにしても。
遠藤といえばですよ。私にとってはもう2015年、左膝に大怪我を負った一番がすべてといいますか。↓
↑わかってるんですよ。この怪我があったからこそ、得られたものがある。この怪我がなければ今の遠藤の幸せな心境は無い。
だから、この怪我も悪いことではなかった。むしろ必要なことだったのかもしれない。あって良かったと言えるものかもしれない。
そう、理解はしているし、実際そうなのだろうと思いますが、やっぱり単純に、遠藤ファンとしては、この怪我がなかった世界線の遠藤が見てみたかったとは思ってしまいます。
遠藤の怪我を心配し続けるファン人生
今が良いのだから過去もすべて良し。それが真実ではあるのですが、この怪我以降、10年間、私の遠藤ファン人生が「遠藤の膝の状態は大丈夫なのか!!!(ゼエゼエ)」という、怪我を心配する心境が8割を占めるものになってしまったので、もうちょっとシンプルに勝敗の行方を楽しむ期間を長く持ちたかったな、なんてことを思ってしまったり。
膝の怪我は力士あるあるですが、遠藤は装具も着けずにずっと土俵に立っていたので、見ているこちらのヒヤヒヤ感も強かったです。
でも、それが遠藤スタイルなんですよね。そういう姿勢も含め、遠藤という力士の魅力なんですよね。
満身創痍の中、遠藤がこれだけ長く関取として相撲を見せてくれたことに感謝しなければなりませんね。
遠藤、お疲れ様。自分もお疲れ様。
引退会見の動画も全部見ました。
「悔いは一切ないですね。いっぱいいっぱいやりました」
との言葉。
本当にそれは、見ていても感じることで、遠藤自身も限界の先の先まで粘ってやってくれたということなら、悔いがないということなら、本当に良かった。
遠藤自身が納得いくようにやってくれることが、私の一番の願いだったから。
総括して、思ったのは遠藤、本当にお疲れ様でした。ということ。
大変な、大変な、力士人生でしたよね。頑張ってくれて、本当にありがとう。
同時に、自分自身にも「お疲れ」。と思いました。
手に汗握って、こぶしを固く握りしめて息切れしながら、遠藤を心配し、応援し続けた12年。
この記事を含め、遠藤について書いたブログ記事は147。
精一杯応援し抜いた。私もファンとして悔いはない。
遠藤はもうこれ以上、相撲で怪我を負うことはない。番付が落ちることもない。
遠藤とともに、私もどこか、土俵を降りた気分です。
西岩親方(若の里)との縁
ちなみに、この引退会見の司会を務めたのは、元・若の里の西岩親方(映像には出ていませんが声で判断しました)。
若の里が、2015年、引退直前に最後に取組をした相手が遠藤で、「最後の相手が遠藤で良かった」と語っていたのがすごく印象的だったのですが、その若の里が今度は遠藤の、現役を締めくくる最後の会見で司会をするということに、なんとも
若の里は、遠藤の良き指導者の一人になってくれるのだろうと思います。遠藤に信頼できる先輩がいてくれて良かった。
遠藤以上の力士は現れない
こうしてとうとう遠藤は引退してしまったわけですが、このときに備えて、遠藤と同等に応援できるような力士を発掘しておきたいと思い、誰か気になる力士はいないか、遠藤を応援するのと並行してずっと大相撲を見てきました。
そうでなければ、遠藤が引退したら私にとっての大相撲が終わってしまう気がして。
しかし、結果、遠藤くらいのめり込んで応援できる力士は遠藤引退までに現れませんでした。
あまり重くない感じで応援している力士はいるのですが。
遠藤くらいファンになれる力士は、私にとって最初で最後なのかもしれません。
遠藤(北陣親方)は大相撲界の宝
でも、大相撲を応援する気持ちは変わらない。日本の素晴らしい伝統文化として、いつまでも繁栄してほしい。
そのために!! 遠藤(北陣親方)の力が必要です!!
遠藤のような心技体揃った親方は、大相撲界の宝。
どうかどうか、素晴らしい大相撲の次世代への継承の役目を、遠藤にはお願いしたい。
特に遠藤の心の強さ。これは、若手力士にぜひ受け継いでほしいものだと思います。
遠藤の相撲を忘れない!!
恐らく、解説の親方陣から「相撲が上手い」と言われたランキング歴代一位なんじゃないかと思える遠藤。
何を仕掛けたかわからないうちに相手がコロッと倒れてしまう上手出し投げ、下手出し投げ、見事だった。
上手出し投げ(VS隠岐の海 2019年夏場所 )
下手出し投げ(VS琴恵光 2023年初場所)
遠藤の、廻しをガッシリ掴んで取る四つ相撲も力強くてもちろん好きだったけれど、私は、遠藤の投げ技が特に好きでした。
自分が過去に書いた、遠藤の印象的な取組を取り上げた記事一覧を見ていると、ああ、思い出がいっぱい。
単調ではない、舞い踊るような、きらびやかな相撲。見ていて楽しかったなあ。
過去を振り返っていると寂しくなるから、あまり振り返りたくないよ(笑)。でも、遠藤の相撲、ずっと忘れません!!
北の富士さん、見てますかーー?? 北の富士さんの遠藤引退に関するコメント、聞きたかったなあ。きっと褒めてくださるでしょうね。
力士のファンてのも辛いものだね
それにしても力士のファンってのも辛いものですね。
あっさりした気持ちで応援しているなら大丈夫だと思うのですが、親身になって我が事のように入れ込んでしまうと、もう大変(笑)。
一番大変なのは力士本人であることは間違いないのですが、近くで何かできるわけでもなく、怪我の状態もわからずに報道を待つしかない状況の中、心配の思いだけがふくれあがって気持ちの持って行き場がないのが辛かったです。
どの力士にも熱烈なファンがいると思いますが、皆さん、きっとぜえぜえしてらっしゃるのだろうなあ。
特に怪我が絡むと「ギャーーーーー!!」って感じになりますよね。
でもそれがまた、大相撲ファンの醍醐味だったりするのかもしれないですね。
そんなことも経験し、学べた、遠藤のファン人生でした。
北陣親方始動
<九州場所 初日の様子>
— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) November 9, 2025
引退後、親方として本日初業務。
元 遠藤の北陣親方。#sumo #相撲 #十一月場所 #九州場所 pic.twitter.com/0zbDBXGRpI
↑さて。日本相撲協会らしいスピード感で、今場所初日から親方業務に従事している遠藤(笑)。
遠藤が引退したらこの出で立ちになるのはわかっていたのですが、ついに……ですね!
引き締まった面差しがカッコイイ。
力士って、洋装になると和装のときよりも太って見えることが多い気がしていますが、遠藤は変にお腹も出ていなくて、ジャンパー姿がシュッとしています!
遠藤を探せ
そして、親方になりたての力士といえば有名なのが花道で警備に立つ姿。
大相撲放送の中で、土俵の向こうにチラッチラッとしか映らない花道を凝視して、「ウォーリーを探せ」ならぬ「遠藤を探せ」状態で探し、やっと見つけた!! 今日の遠藤。↓
↑いたいたいたーーー!! 遠藤ォォォォォーーーー(泣)!!
↑現役時代に締めていた金色の廻しの色にも似たネクタイを着けて。
(隣で一緒に見ていた母は、「遠藤の、Yシャツの襟元が、きちっとしていてだらしなくなくて良い」と、清潔感ある着こなしを絶賛していました。)
↑頭が見切れているけれど、ここにも発見!
カメラで大写しになることはなくても、本場所に姿を見せてくれたことには違いない。また見られて良かったよ~~(泣)。
北陣親方推し
私はこれからも遠藤を応援していきます。
遠藤の引退を
ついに力士ではなく親方ファンになってしまった。
遠藤の引退は寂しいけれど、相撲協会には引き続き残ってくれて、親方として応援できるのはありがたい限り。
力士時代よりもきっと身近な存在になるでしょうね。力士時代は、半径2メートル以内に近づけないくらいのピリピリ感があったけれど……(笑)。
<大相撲九州場所>
— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) November 11, 2025
来年のカレンダープレゼント!
大相撲十一月場所 15日間
1階正面ファンクラブブース横
13:00~ ※変更になる場合がございます。
※配布する親方は毎日変わります。
先着200名様にプレゼント!https://t.co/JZ4uPtk43F#sumo #相撲 #九州場所 #十一月場所 pic.twitter.com/GrvIJ0u6wM
↑今日はこんな、来場者へのカレンダー配りもやっていたみたいだし……(笑)。現役のときなら信じられない!!
遠藤は今後も、大相撲界に福をもたらしてくれる存在であり続けると思います。
遠からず、きっと解説にも呼ばれると思うので注目していきます。
頑張って前を見ます。大相撲を盛り立てていく遠藤を応援していきます。
そんな中でまた、自分にとってのスター力士が現れれば、それはそれで楽しいなと思います。
祈・健康で長生き
あとはどうか健康で長生きしてほしい。
遠藤を応援してきたたった12年間の中で、亡くなるには早すぎる親方が大勢他界されました。北の湖親方、九重親方(千代の富士)、錣山親方(寺尾)、井筒親方(逆鉾)……。
岩友親方(木村山)、東関親方(潮丸)に至っては40代の若さで、訃報が信じられませんでした。
遠藤は自己節制ができるタイプだし、今の顔つき・体つきを見ていても、引き締まっていて健康そうなので、今の状態を維持してほしいです。
遠藤が長く大相撲界を牽引してくれる存在になることを心から祈ります。
ありがとう遠藤!! そしてこれからも、頑張れ遠藤!!

