2017年九州場所。
今場所における遠藤の見所(みどころ)といったらなんと言っても!!
この、下手(したて)ひねりですね(二日目。VS魁聖)。↓
(画像出典:2017年11月13日放送 NHK総合1 大相撲九州場所二日目 画像内円と矢印は筆者)
↑まわしをグッとつかんで……。
(画像出典:2017年11月13日放送 NHK総合1 大相撲九州場所二日目 画像内円と矢印は筆者)
↑下方向に強く引いて相手を転がす!
この、下手ひねりという技、遠藤は昨年の三月場所でも披露していましたが、見ているこちらからすると本当に不思議な技です。
まるで合気道のように、ほとんど何もしないうちに相手が勝手に倒れるように見えるのです。
これはもう遠藤の「十八番(おはこ)」と言っても良い技ですよね。私の中では遠藤の代名詞。
相撲が「上手い」
そして、遠藤の「下手捻り」は、解説の親方からもいつも「上手い」と褒められます。
この日の解説だった宮城野親方にも「うまいっすよね」と言われていました。
……そうなんだよ、遠藤は相撲が上手いんだよ!! 天性の素質なんだよ!! ……と熱弁をふるいたくなります。
浮かぬ顔
しかし、今場所全体を見れば、勝ち越しはしたものの、遠藤本人が納得しているかといったらそうでもないような雰囲気があります。
(画像出典:2017年11月22日放送 NHK総合1 大相撲九州場所十一日目)
↑というのも、この勝ち越しインタビューで、心を閉ざしたように笑顔が無かったのです。
足の怪我の状態を聞かれると、「だいぶ四股とかすり足とかができるようになってきたんで、まあ、少しずつ良くはなってると思います」との答え。
これを聞いて「えっ」と思いました。四股やすり足という基本動作すら、まだ満足にはできない状態なの??
私は勝手に、もう少しは症状が改善されているのかと思っていました。
しかし痛みは続いているんですね。
遠藤の固い表情が現状を物語っているようで、ちょっと心配になりました。
北の富士さん、鳴戸親方の優しい言葉
しかしそんな遠藤を見て、思いやりの言葉をかけてくれる解説の方たちには心癒やされます。
鳴戸親方
たとえば11日目解説の鳴戸親方(元・琴欧洲)は、アナウンサーの「遠藤は元に戻しているところでしょうかね」という問いかけに対し
まだ途中だと思いますね。本人は口にしていないけど、多分まだ痛いんだと思いますけどね。まあ、戻っている最中ですね。
と、遠藤の抱えている「痛み」を察する発言。
鳴戸親方……。あなた、良い人だね(涙)。
北の富士さん
そして千秋楽、輝(かがやき)にあっさり負けてしまった遠藤に対し、北の富士さんがおっしゃったのは以下の言葉。
自分から攻めていこうという気がないですね。どっか悪いんじゃないですかね。
遠藤の調子がおかしいのは「遠藤がどこか悪い(怪我している・痛い)から」という、たとえばいつもテストで100点を取る子が50点を取ったときに「風邪で勉強できない期間があったんだろう」とかばうような、遠藤の能力や努力しようとする心を信頼した言い方が心にしみました。
向上心の表れかも
でも、今ふと思いましたが、遠藤が勝ち越してもさほど嬉しそうではないのは、こんなところで満足はしないという向上心の表れなのかもしれない。
不安だから、先行きが思いやられるから暗い顔なのではなく、こんなところで安心しているわけにはいかないという強い心の表れなのかも。
きっとそうなんだろうな。
ずるさのない相撲
遠藤は今場所も相変わらず相撲がまっすぐで、力強く美しくて、一貫して淡々と「遠藤」だな。と思いました。
今後も、ブレずに貫いてほしいです。
来場所も、遠藤の躍動する相撲を楽しみにしているよ! 頑張れ遠藤!!