2016年11月、九州場所。
千秋楽も終わり、遠藤の結果は7勝8敗。
あと一勝すれば新三役、殊勲賞……というところでのぎりぎりの負け越し。
惜しくはありますが、私はこれが遠藤にとって最善なのだろうと思っています。
塞翁が馬
遠藤を見て思うのは「人間万事塞翁が馬」。
遠藤は一年半前に左膝に大怪我を負いました。これだけ見れば不幸です。
しかしそのおかげで「(膝に負担がかからないよう)前に圧力をかける相撲」に磨きがかかり、精神面も鍛えられ、総合的には力士として成長できたと思うのです。
だから今場所の結果も、長い目で見れば遠藤にプラスのはずです。
久しぶりに上位と対戦し、勝利を収め、経験値も増え自信もついたでしょうし。
すごすぎる
横綱や大関と闘っている遠藤を見て、私は、「ああ、遠藤もやっとこんなところまで戻ってこられたんだな」と、その奇跡に目を見張る思いでした。
怪我をした直後から先々場所くらいまでは、いつ膝が大悪化するか、心配で心配で、とにかく現役が続行できるように、それを一番強く願っていました。
それが、「前頭三枚目」という高い番付で、三人の大関と一人の横綱を倒し、7勝8敗という成績。
むしろ、本当に信じられないくらいの素晴らしい結果。大・大・大健闘と言えます。すごすぎます。
遠藤にとって実りの多い場所だったと思います。これからも焦らず、遠藤のペースで、今まで通り、コツコツ頑張ってほしいです。
VS白鵬
それにしても今場所で特筆すべきなのはやっぱり白鵬を初めて倒したことですよね!
(画像出典:2016年11月18日放送 NHK総合1 大相撲九州場所六日目 画像内円は筆者)
↑白鵬のかち上げを左肘で防いで……。
(画像出典:2016年11月18日放送 NHK総合1 大相撲九州場所六日目 画像内円は筆者)
↑土俵際に追いやってからのジャンピングアタック!! で勝利(遠藤の足が土俵から浮いているのを確認できると思います)。
この、最後、ピョンッと飛んで圧力をかけるあたりがとても遠藤の相撲らしいと思いました。
(画像出典:2016年11月18日放送 NHK総合1 大相撲九州場所六日目)
↑花道を退くとき、自然ににじんだ笑顔に充実感があふれていました。
安心して見られた
先場所から遠藤の膝に復調の兆しはありましたが、今場所はますます安定感が増し、膝のことを気にせず安心して見ていられました。
ただ、土俵を降りてから膝を気にするような仕草をしていることがあり、やはりまだ完治はしていないんだなと思わされます。
膝回復に向け、本当に長い道のりを歩んでいる遠藤ですが、あと一歩というところまで来たのだから慌てずに進んでいってほしいです。
「忍んだ先」の景色は開けつつあります。
頑張れ遠藤!!