↑大関・栃ノ心。
大怪我をして幕下まで転落したときに弱気になり引退を考え、春日野親方から「バカ野郎、何が引退だこの野郎。これからまたやり直そうな」と叱咤激励されて奮起した……というエピソードを聞き、私にもそういう、思ったようにいかなかったときに焦ってすべてを投げ出したくなるときがある! 栃ノ心にもそんなときがあるんだ! あんな、身も心も屈強そうなのに! と共感して、以来、なんとなく親しみを覚える力士になっています。
(上記の栃ノ心エピソードについて詳しくはこちら。↓)
そんな栃ノ心。
今場所は角番で、千秋楽の一番に大関陥落か否かがかかっていました。
また緊張していた
10日目から13日目まで四連敗して、そこまでの成績は6勝7敗。
千秋楽まで二連勝しなければ負け越しで大関陥落……という状況下で、14日目の朝稽古後、春日野親方は栃ノ心を『おい、レヴァニ』と呼びつけ、
負けてもいい! 思い切っていけ!
と発破をかけたそう。
レヴァニとは栃ノ心の本名。
この激励で栃ノ心は『楽になった。思い切りやろう、とだけ考えられた』そうで、結果、十四日目の取り組みは玉鷲に勝利しました。(参考:日刊スポーツ)
これを聞いて、「ああ、また、栃ノ心、緊張でガチガチになっていたんだなあ」と思いました。
本当にそういうところ、共感する。
私も、結果を求めるあまりにガチガチになって逆に動けなくなることがある。そしてそんな自分に対し、もう一人の自分が、春日野親方みたいに、「失敗してもいいからやれ!!」って熱いエールを送るんだよなあ(笑)。
千秋楽
栃ノ心は千秋楽に向けて、
多分、緊張すると思うけど、勝っても負けてもいいから、思い切りいく。こんな気持ちで毎日やれればいいのに
というコメントを出していました。(参考:日刊スポーツ)
そして千秋楽。
相手は、栃ノ心との一戦に大関昇進がかかる貴景勝です。
(画像出典:2019年3月24日放送 NHK総合1 大相撲春場所 千秋楽)↑立ち合い。正面からまともにぶつかります。
(画像出典:2019年3月24日放送 NHK総合1 大相撲春場所 千秋楽)↑貴景勝の低い位置からの突き押しに体が起こされ、そのまま押し込まれていき……。
(画像出典:2019年3月24日放送 NHK総合1 大相撲春場所 千秋楽)↑土俵外へ。
結果、負け越し。大関陥落が決定してしまいました。
堂々と負けた
しかしこの取り組みに対し、解説の北の富士さんはこうおっしゃいました。
負けた栃ノ心はね、堂々と戦って、受けてね、堂々と負けましたよ。
これは、取り組み前に、もしかしたら栃ノ心は変化するかもしれない(腿の怪我や角番であることなど、状況が厳しいため)と北の富士さんが話していて、けれど栃ノ心は変化せずまともに立ち合ったため、それに対して出た称賛の言葉ですが、これを聞いて、「堂々と負けた」って、その通りだなと思いました。
『勝っても負けてもいいから、思い切りいく』……。その言葉を体現した相撲だったと思います。
「負け様(ざま)」が心を打つ。こういうのが相撲の良いところだよなと思いました。
頑張ってほしい
取り組み後、栃ノ心は
(引用:sanspo.com)何とも言えない。俺が弱いから。
と話していたそうですが、これを聞いて、弱かねーよ!! と栃ノ心の肩を揺さぶりたくなりました。
栃ノ心、あなたは決して弱くなんかないよ。勝ちに固執したズルい相撲は取らなかったじゃん。それだけで十分立派だった。
来場所、10勝できれば大関に復帰できる。だから、大関への望みはまだつながっているし、あんまり焦らないでほしい。
『勝っても負けてもいいから、思い切りいく』っていう、そういう精神が貫かれた相撲、これからも見せてほしい。
栃ノ心が前を向いてこれからも相撲を続けてくれることを祈っています!!
頑張れ栃ノ心!