2022年大相撲春場所。
十一日目に、栃ノ心が八場所(2020年11月場所)ぶりの勝ち越しを決めたとNHK大相撲のツイートで知り、どんな相撲だったのかチェックしてみたら栃ノ心らしい豪快な吊り出し!!↓
(画像出典:2022年3月23日放送 NHK総合1 大相撲春場所11日目)↑対戦相手の
取り組み動画はこちら。↓
意外な勝ち越しインタビュー
(画像出典:2022年3月23日放送 NHK総合1 大相撲春場所11日目)↑その後の勝ち越しインタビュー。
「(勝ち越しまで長かったが)どんな気持ちで取っていました? ここ一年」という質問に対し、栃ノ心は
そうですね。なかなかね、勝てなくてね。体がけっこうボロボロになってきましたけども、まだまだね、頑張れると思いますのでその気持ちでやってきました。
とにこやかな表情で語ったのですが、これが、私は意外でした。
繊細な力士
栃ノ心といえば、怪我の影響で一度は幕下まで転落したものの、奮起して大関まで昇進した努力家力士。
けれど、幕下まで落ちたときに引退を考えたり、大関陥落してしまったときに「俺が弱いから」としょんぼりしていたり、ちょっと精神面が、堅固なゆえに、ある拍子にポキッと折れてしまいそうな危うさも感じさせる力士に見えていました。
理想が高く、そこに届かないと絶望してすべてダメだと思ってしまうといいますか、焦りがちといいますか……私にもそういうところがあったので共感して見ていたのですが。
焦っていない
ですから、そんな栃ノ心であれば、大関に復帰できないばかりか今にも十両に転落しそうになっている現状に対して焦りや不安を感じているのではないかと心配していたのですが、「体はボロボロになってきたけれどまだまだ頑張れる」とすごく前向きじゃないですか!
一年四ヶ月も勝ち越せなくて、番付もジリジリと落ちて、けれどその中で自分と向き合い、折り合いをつけて、焦らず淡々と頑張る境地に至ったのですね。
引退するかと心配だった
私は、栃ノ心が二度目に大関陥落して、そのまま大関特例復帰できないことが決定的になったときに、絶望して引退してしまうのではないかとヒヤヒヤしていました。
どうやら現役続行してくれるようで良かったなと思っていましたが、栃ノ心の、力士としての精神的限界はどこにあるのか、いつ気持ちが切れてしまうのか、気がかりでした。
それまで守ってきた番付から落ちると引退してしまう力士も少なくないですから……。
でも栃ノ心って、いつの間にか、勝てないことにも焦らず前向きにやっていける力士になっていたんですね。
心の柔軟性
改めて調べたところ、2022年の目標として
(引用:日刊スポーツ)できるだけ長く相撲をとれるよう、精いっぱいやりたいですね。
と語っていたとのことで、番付上位を目指すだけでなく、長く相撲を取ることを目標に掲げるようになっていたことを知り、栃ノ心も、苦難の中で、心に柔軟性(寛容性)が出てきたんだなあと思いました。
現役最古参
2022年3月現在、栃ノ心は現役最古参(新入幕が一番古い)の力士なのだそうで、「幕内で朝青龍と対戦経験のある力士は栃ノ心のみ」(*2)であるとのこと。(引用*2:wikipedia)。
調べてみたら、確かに、栃ノ心の新入幕は2008年で、怪我で番付を落としていた2014年頃を除けばずっと幕内常連。
私の中では、なぜか栃ノ心ってわりと新しい力士で、それは恐らく栃ノ心に初めて注目したのが2018年だった(NHK「アスリートの魂」で取り上げられたのを見た)からなのですが、実は老舗力士だったとわかってすごいなあと思いました。
本人、雰囲気が若いですし、良い意味であまり「最古参」な感じがしないです。
どこまで行ってくれるか
一度は大関という高みを見た栃ノ心。
ここからどのような力士人生を見せてくれるか、楽しみです。
上手くいくばかりではないのが土俵人生。でもだからこそ、そこで必死にやる中で、精神の成長もあるんですよね。
昔の栃ノ心は怪我で休場したら引退をすぐ考えたかもしれないけれど、きっと今は違うんでしょうね。
私も、私の人生を歩み、私なりの苦難に対処していく中で、少しずつこだわりを手放せるようになってきました。
栃ノ心と共に、私も、自分の人生を通して強くなっていきたいです。
今後もなるべく長く栃ノ心の活躍が土俵で見られるよう祈っています!