バレリーナ吉田都さんが2010年6月29日に東京文化会館で演じた「ロメオとジュリエット」全三幕がNHKで放送されていたので、二時間二十分ほど、隣で眠りこける母を尻目に、意地で全部見ました。
結末が苦手
ハッピーエンド好きの私は、このロミオとジュリエットという物語の結末がどうも苦手です。
レオナルドディカプリオ主演の映画「ロミオ&ジュリエット」を見たときも、途中までは良かったのですが(手紙の再配達がうまくいかなかったシーンは叫びたくなりましたが)、ラスト、見ていて地団駄踏みたくなりました。
ほら、ジュリエットの指が動いてるやないかい! ロミオ気付けよ! ああーっジュリエット、目が覚めたらもたもたしてないでさっさとロミオに合図しろよ、ああーーっ!!
と、もう目を覆わんばかりです。
ですからこのバレエの「ロメオとジュリエット」も、引き込まれながらも、結末を見たくないな~~とちょっとびくびくしていました。
ラスト……美しく亡くなっていく二人……。
蘇る二人
けれどすぐ幕が閉じ、カーテンコールで再び幕が開いたとき、二人は蘇っていたのです!
さっき倒れていた二人が、もう手を取り合ってにこにこ立っている!!
そうよ! さっきのは演技だったんだからね! 本当は生きているんだからね!
……と、ホッとしました。
吉田都さんの引退公演だけあって、頭上には「SAYONARA」と派手なネオンが降りてきて。花束とキラキラの紙吹雪に包まれ、大勢の人から抱きしめられる都さん。
「ロメオとジュリエット」の悲愴感が最後にはほとんど払拭され、見ていた私は助かりました。
ディカプリオの「ロミオ&ジュリエット」でも、映画本編が終わったあと、おまけのように、ディカプリオとクレアデーンズ(ジュリエット役)が起き上がってニコニコ抱き合っているシーンなんかを流してくれたらちょっと救われたのに……。(←無理な要求)